「雪虫」は、日本の北国で、雪が降る季節の前に飛び交う小さな虫です。厳しい冬の訪れを告げる象徴のようなものでしょうか。
小説『雪虫』の舞台は、寒さはそれほどではありませんが、雪深さでは日本でも有数の新潟です。小説は真冬ではなく、晩秋から初冬、まさに「雪虫」が舞うような季節に展開していきます。
親子三代の警察官に絡んだ事件の因縁、そして家族の物語です。謎解きを縦軸にし、「三代目」である主人公の鳴沢了が、どのように事件と、そして家族と向き合っていくかが横軸になって物語が展開していきます。父—子—孫、それぞれ警察官のプライドを持った男たちの関係が軋み合います。
内容的にも非常に「寒い」話です。暑い台湾の皆様に、小説を通して日本独自の重苦しい寒さを感じていただければ幸いです。
——堂場瞬一